MOコンペリーグでの勝率は、だいたい55%だった。
これは高いとも低いとも言える数字だ。

まあ、弱いと言うには高いかもしれない。
そもそも私は、特別マジックが上手いわけではない。
対戦譜を見返すと、思考の簡略化のしすぎから来る単純なミスと、うっかりF2プッシュの多さに変な笑いが出ることがある。あと、サイド後デッキが62枚になってたり。正直MO以外ではやらないミスも多いので、あまり直そうと思ってなかったりするのが一番たちが悪いのかもしれない。


じゃあ、このデッキは強いのか?
そうとも言えない。
この後、PPTQがモダンであることもあって、私はクラガンウィックでPPTQに出続けたが、優勝することはできなかった。
勝率は50%前半。

鱗とカンパニーが多い大会で、サイドにリンヴァーラが居ない状態でトップエイトに残ってしまう噛み合いの悪さもあった。
予選で運よく鱗二本とマーフォークを抜いて、エイトで緑白カンパニーに「順当に」負けた。もしサイドにリンヴァーラが居たら何かが変わっていたかもしれない大会だった。1枚で勝てるサーチ先が不在の場合、このデッキはエース頼みになる脆さがある。

結局、私はこのデッキを押し上げることができなかったのだ。

正直に言おう。
私は、クラガンウィックシュートに夢など見ていない。
思い出せば、始まりから青白、ジャンドといった現実と戦っていたのだ。
調整を始めた2月末から、半年以上が過ぎていた。
時々別のデッキの調整をしながら回すこのデッキのクオリティーは、私にとっての代表作といえるほど高い。
つまり、この方向性ではもう「大きな伸びしろが期待できない」のだ。
クラガンウィック自体の欠陥が肯定した、各パーツが期待値を満たさないアグロと融合したデッキ構造。それっぽく埋まっているだけのメインボード60枚。とある緑白カンパニー使いが言った、「デッキじゃない」という言葉を、心の中で肯定している自分がいた。

それでも、私以外のマジックが上手い人が使えば、もしかしたら。

その希望は、すぐに打ち砕かれた。ある配信を見たときに絶望する。

確かに当たりがすごく悪かった。あと、多分本人にやる気が無かったと思う()
まあ半分紙束を押し付けられたら、そりゃキレますわ。

それでも、「ああ、これはマジック力以外の部分をつかうデッキなんだな」というのはなんとなく理解した。そのカード抜いて除去足したらマナフラするよ、と思った対戦で案の定マナフラ死していて涙で前が見えなくなった。そりゃ普通思わないよね。メインが既にだいぶマナフラに寄ってるなんて。

サイドボード動画を上げたのはこの配信を見たのが直接の原因だったりする。
実際、いままでの動画でおろそかにしていた部分だったのもあって、そこそこの反響をいただけた。私の垂れ流してる妄言の数々を一言一句メモってる疑惑のある某進化フリークとか、あとローグデッキ使う人には割と好評だった気がする。すでに記事があることの多いまともなデッキ使いが求める完璧なサイドの作り方じゃなくて、適当サイドでの即興イン・アウトの作り方みたいな側面が強かったからなぁ、と今なら思える。


さて、そんなこんなで時は過ぎ、ラヴニカのギルドが発売される。
公開時点で有望視されていたレア「暗殺者の戦利品」と、見逃されていたアンコモン「這い寄る恐怖」によって、モダン環境は激変した。
1回モダチャレに参加したときに感じた、ドレッジと、BGの隆盛。人間スピリット、そして青白の減少。

クラガンは、ブリッジヴァインとは五分だった。
それより遅いドレッジとは不利だったが、それはサイドカードの絶対量の少なさから来ていた。

弁論の幻霊が置ければ、ブリッジヴァインとは戦える。だから、サイドが足りない分通常ドレッジには不利がつく。なら、しっかりサイドさえ取れば有利だろう。

BGはもとから有利。衰微がパスになるのなら、相性はむしろ良くなるといってもそう外れていないはず。マナクリをサイド後抜きやすくなるのは大きい。


青白が減ってるかは分からないので、メインに魂の洞窟を残しつつ、メタに合わせたつもりの75枚で、二度目のモダンチャレンジに参加する。
そして、風が吹いた。

1回戦、黒白エルドラージにメインボード辛勝し、サイド後も抜いてまず1勝。

2回戦のアイアンワークスをシュート2本で撃墜。

3回戦、トロンをシュートで3キル。流れが来ていた。

4回戦のホロウワンは相手の燃え立つハンデス二連発が空ぶりダンク、サイド後は相手が壮絶に事故死。

5回戦はまたも白黒エルドラージ。サイド1本を月メイガスで取り、1本は勝負手の獣相のシャーマンが生き残り、見せてないクラガンが沈めた。

6回戦にして雲行きが怪しくなる。
相手は青単マーフォーク。1ゲーム目はこちらの赤マナ源が島にされ、2ゲーム目はわずかに届かず。

しかし、7回戦はジャンド。サイド後ハンドの読みがドンピシャり相性差を押し付けて勝利。これで6-1。4位通過。

風が吹いていた。

モダン環境に置いて、非クリーチャースペルはぜい弱だ。

蛮行で落とされ、ホダコにかすめ取られる。

私は、クラガンウィックシュートは半分紙束といった。
ランダムの一文が癌だ。一生取り除けない部分だろう。こいつはきっと、どれだけ頑張ってもホロウワンにはなれない。おそらく一生300円レアだ。私はこいつがいくらで売られてようと、300円レアと言い続ける。

それでも。

「もし、4マナで勝てる非スペルカードと、4~5キルアグロが完璧に両立したら?」

過去に禁止された双子は、勝つのに7マナ必要だった。
一方クラガンは、3~4マナと、ライフ4点分削るカードのコスト。
もしシュートが絶対に決まるのなら、クラガンは双子を凌駕しうる。カイジが、アカギに勝ちうるのだ。モダン標準を凌駕する動きを、クラガンウィックシュートは私の下で見せていた。

デッキが勝てと言っているような気がした。狂っているのは私の耳なのか、それともMOのシャッフラーなのか。

ドレッジをメイン4キルで下し、準決勝で6回戦に負けたマーフォーク。
相手のミスをシュートで咎めてメインを拾い、3ゲーム目、鉄葉と全体3点の組み合わせで魚軍団を吹き飛ばす。

決勝の相手はジャンドだった。
メインボード、相手が怒り狂う山峡を置いた瞬間、このマッチは勝つなと確信した。
残りライフ1点からカリタス1枚に捲られても焦りは無い。こいつはデッキに1枚のカードだ。3ゲームやれば1回は引かれる。でも、2回は引かれないだろう。根拠もなくそう思っていた。

2ゲーム目をダンクで取り返し、3ゲーム目。土地基盤以外は不満の無いハンドをキープ出来た。相手は土地にパス(暗殺者の戦利品)。次のドローがアンタップで置ける銅線の地溝。完璧な1枚を引けた。もう疑う余地が無い。勝てる。

その後、疑問手が続いて盤面がさばかれるも、手札にあるのは異界の進化。
相手はフルタップで残りライフ2。浮きマナは6。3マナ以下のクリーチャーなら、速攻持ちの絡み根を進化で持ってきてジャストキルできる。本来なら既に勝っていたのかもしれないが、有利なのはこちらだ。

次のドローはレリックだった。1ドローに変換すると、稲妻をドロー。

最後にたどりついたのは16点ダンクではなかった。
赤1マナのスリーポイントシュートが、空に撃ちあがる。

こうして、長い長い大会が、ようやく終わったのだった。

メインボード(60)

土地(23)
2《魂の洞窟》
3《銅線の地溝》
2《火の灯る茂み》
4《森》
1《ケッシグの狼の地》
3《霧深い雨林》
1《山》
2《踏み鳴らされる地》
1《寺院の庭》
4《樹木茂る山麓》

クリーチャー(30)
2《極楽鳥》
4《クラガンウィックの死体焼却者》
2《獣相のシャーマン》
1《原初の飢え、ガルタ》
3《動じない大ワーム》
1《月の大魔術師》
4《貴族の教主》
1《無効皮のフェロックス》
1《漁る軟泥》
4《鉄葉のチャンピオン》
4《絡み根の霊》
1《狩猟の統率者、スーラク》
2《不屈の追跡者》

呪文(7)
3《異界の進化》
4《稲妻》

サイドボード(15)
1《魂の洞窟》
1《漁る軟泥》
1《高山の月》
1《カルデラの乱暴者》
1《減衰球》
1《弁論の幻霊》
1《台所の嫌がらせ屋》
1《静寂の守り手、リンヴァーラ》
2《再利用の賢者》
2《大祖始の遺産》
1《破壊放題》
1《金屑の嵐》
1《崇敬の壁》


最後に一言。

私は0.1チケット以下で買ったクラガンウィックをMO上で100枚持っていて、買い取り0.5チケット前後で50枚捌いて、50枚の売り時を逃した。

だからお願いします。
誰かもう一回値上げてください。今度は売り時逃さないから。1チケで処分したいとか言わないから。欲張らないから。




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